卒園生のみなさんへ

卒園生のみなさん、保護者のみなさん

いかがお過ごしですか?
卒園されてからどれくらいの月日が経ったでしょうか。
今、どんな姿で社会に羽ばたいているでしょうか。

横浜シュタイナーこどもの園は2019年に創立30周年を迎えました。
温かなご支援の賜物です。本当にありがとうございます。

変化のめまぐるしい時代ですが、シュタイナーこどもの園はみなさんが通われていた頃から大きく変わっていません。

古いけれど手入れの行き届いた園舎。季節ごとの花や実に彩られる園庭。
布や羊毛や遊び紐を使いこなして遊びに没頭する子どもたちの姿。
変わらない光景です。

創立30周年記念事業のバザーには、社会人となった卒園生たちが来訪してくれました。
教師と「あんなことがあったね、あの時こんなことを言っていたよ」と語り合いました。
卒園生たちは帰りに台町公園にも寄ったそうです。

これからも、こどもの園がみなさまにとって懐かしく愛おしい場所でありますように。

同窓会について

30周年以降開催予定でしたが、コロナ感染拡大防止のため中止としています。
2020年度で退職された鈴木まゆみ先生よりメッセージを頂戴しています。
いつか、みなさんで集える日が来ますことを。

鈴木まゆみ先生より

暑い夏になりました。  

皆様 お元気でお過ごしでしょうか。
外出がままならない時期ですが家でできる楽しみを探して過ごしたいものですね。  
私は2002年4月から2021年3月までこどもの園で小学校に進学する前のお子さんたちと毎日過ごしてきました。こどもの園は不思議な魅力のあるところ。長い間仕事を続けてこられたのもその不思議な魅力のおかげですね。きっと・・・。  

その不思議な魅力とは・・・   

何も特別な事ではないのだけれど、そこにはきちんと暮らす日常があったように思います。 
幼稚園なのに家庭で暮らしているような生活があるのです。 
運動会も音楽発表会もないけれど。ハレとケがはっきりしている生活はゆったりのんびり過ぎていき、 
それでも生き生きした驚きや心が動かされる体験があるのです。     

場を整える事

お坊さんが境内を隅から隅まで掃き清めるように よく掃除をしました。 
庭も室内も箒で履きごみを集める。掃き掃除をしたり雑巾がけをしたり。 
朝、ほこり落としをしながら棚をふいていきます。 
いつもあるものが、あるべきところにあるようにきちんと整えるように整頓していくのです。 
子どもたちが手に取り使うものは置く場所も決まっているのです。 
遊び布はここ。 
お手玉はここ。 
丸太はここというように。 
いつも同じ場所にある。 
こどもの園の子どもたちは片付け上手。 
室内遊びの片付けの時は、合図で鐘がなったり歌が歌われたりしなかったけれど教師が片付け始めるとなんとなく片付けが始まります。なんとなくです。 
籠を持ち、物を集めては棚に置いていく。 
この籠にはお手玉を集める。 
この籠にはどんぐりを集める。 
この籠には羊毛を集める。 
小さな木の実から大きなものまでたちまち元通りの場所へ帰っていきます。 
足の踏み場もないほどに遊んで散らかっていた室内がきれいになっていく。 
片付けの最後は箒と塵取りで掃き掃除。子どもも手伝います。 
何一つ落ちていない室内は清々しく気持のよさを感じます。 
けれどね。全員がせっせと片付けをするわけではなく、まあ、のらりくらり省エネで過ごしている子どももいるのですが、それもその子の個性でしょう。片付けがはじまってもまだまだ遊んでいる子もおり、いろいろです。そこが異年齢のクラスの良いところ。 
小さな子はもう少し遊ばせておいてあげようね・・・と大きな子どもたちは少し寛大になれるのです。     

季節を感じる事 

父の日や母の日のプレセントを作り家へ持ち帰ったりはしないのだけど、染め紙をしてきれいな七夕飾りを作ったり、夏まつりには皆で踊ったり車引きをしたり宝探しをしたり。 
クリスマスには蜜蠟ろうそくを作り室内が甘い良い香りで満たされます。 
季節の移り変わりを毎年楽しみました。 
園庭に梅の木があり落ちている梅の実は子どもたちが貰えることになっていました。 
登園時は階段を上り保育室へ行くのですが、階段をのぼりながら両脇の雑草の中に目を凝らし梅を見つけてはポケットに入れていく子ども達。 
朝から楽しみにしているとお母さんが話していたことを思い出します。 
「階段に梅が落ちているかな~。早く行ってとりたいなあ」と夜寝る前に子どもが話すそうです。 
もちろん教師は梅を取り梅干し作りや梅ジュース作りと梅仕事をするのです。 
園では学期の終わりに庭でタライに水を張り洗濯をします。 
遊び布や赤ちゃん人形の洋服、砂袋のカバーなど、暑い日差しの下で思う存分じゃぶじゃぶと洗濯です。 
洗濯板と石鹼が必需品。 
庭に張られた洗濯ロープに干された布や赤ちゃん人形の洋服は風に揺れて美しく、こどもの園の風物詩のようです。 
冬は室内でタライにお湯をはり洗濯をしたり家具や木製のおもちゃのワックス掛けをしました。 
ワックスの良い香りとクリスマスの準備。 
新しい年を迎える前のちょっぴり忙しい時期でもあるのです。   

自分たちの力を試す事

毎日9時までには登園し、室内で遊びその後おやつを食べそして庭で遊ぶ。
毎日同じ繰り返しで生活が行われていきます。 
水彩画をする曜日・オイリュトミーをする曜日・おにぎりを持ち公園へピクニックしに行く曜日・玄米給食やパン給食の曜日。 
それらを彩るのは季節と共に変わっていく毎日行われるライゲンや語り聞かせの時間です。  
そんな日常ですが台所の手伝いをしている子どもが手を滑らせてコップやお皿を割ってしまったり、庭で遊んでいたら雨が降ってきて庭遊びが途中から雨散歩になったり。 
いつもとおんなじと思ってもそうは行かない時も、もちろんあるものです。 
近所のお宅から犬が散歩しに園庭に迷い込んで来たり、いろいろな事がありました。   

ある時 冬の寒い日に散歩へ行くと強風で倒された3メートル以上ある青竹が転がっているではないですか。教師は園へ持ち帰り竹ぽっくりを作りたいものだと密かに思いめぐらしました。 
そこで「この竹、長いけど園へ持って帰ろうと思うのよ」と話したら年長児たちが自分たちで持ち帰るというのです。わっしょいわっしょいと肩に担いで坂道を登り始めました。 
年長児全員で肩に竹を担いで15分くらいの園への道のりを上手に運びきりました。よくやったね。 
卒園前に力を合わせて呼吸を合わせて ‘チーム年長‘ の活躍でした。   

ある夏の日の 草履が埋まっちゃった事件 *************** 

「2015年 会報夏号 さくらクラス保育室より 鈴木まゆみ」より引用   ・・・

日差しが強くなり暑くなってきたら草履やサンダルを履いて砂場で遊びます。 
子どもたちはそれを楽しみにしています。思う存分どろんこ遊びができます。 
水を汲めるだけ汲んで何回も砂場に運びます。川を作り橋を渡してトンネルを通して遊びます。 
砂と水と格闘しているうちに服はびしょびしょになり、そのうち裸足になり夢中で砂場を掘り出すのです。 
その日は一人の子どもの草履が片方見当たらなくなりました。 
はじめは履いていたのですが川の中に得意満面入っていき掘っているうちにドロドロの砂に足を取られて草履が見当たらなくなってしまったようです。どこを探してもなくて・・・。 
語り聞かせの時間やお弁当の時間も始まります。 
ひとまず引き上げて後で探そうという事になりました。 
室内での食後遊びを始めた年長児何人かに「庭に出て砂場を掘って草履を探してみてね」と頼んでみました。さずが年長児です。熱心に砂場を掘り始めてくれました。 
この辺りだと・・・と話しながら見当をつけて掘っています。 
そのうちお弁当を食べ終わった子どもたちが部屋からその様子を食い入るように眺めだしました。 
また時間切れ。もう降園時間です。 
ついに延長保育の時間に作業は引き継がれていきました。参加者全員で掘るわ掘るわ。教師も一緒になって掘りました。園の砂場は底なしのように掘っても掘っても掘れるのです。 
「どこまで掘れるんだ!」 
「大変だ!お父さんも呼んでこなくちゃあ」 
「ないな!どこに隠れちゃったんだろう」 
かなり深い穴に掘り進んだころに青い鼻緒がちらりと見え・・・。 
砂まみれの草履がようやく見つかりました。 
大歓声を上げたのは言うまでもありません。 
草履を探すという仕事のような楽しい遊びの経験でした。 
大人にとって仕事は仕事。遊びは遊びです。 
子どもにとっては遊びが仕事であり仕事も遊びであるのです。 
有用な事とそうでないことを区別せず行為の中に、動きの中に喜びがあります。 
意味を解せず行う事で感覚体験や新鮮な驚きを存分に味わえるのです。 
それが子ども時代の知性と言えるのではないでしょうか。・・・  

************* 

もう6年も前の出来事ですが後日談として。 
この時に関わった子どもは鮮明にその時の印象を覚えていて卒園して小学生になってもまだ 
「草履が埋まっちゃった事件」が家庭で話題になるとお母さんが教えてくれました。     

こんな事も こどもの園の不思議な魅力。 
見た目は地味だけど、味わい深くその体験、香りや手触り、手にした感触、繰り返される真面目なシンプルな生活が人生の根底を支えるものになっていきますように。 
多くの方にこの園の不思議な魅力が届きますように。 

鈴木まゆみ

メッセージ募集

卒園生みなさんのメッセージも随時募集しています。
下記テーマでご寄稿いただける保護者の方・卒園生(18歳以下の卒園生は保護者の許可をもらってご寄稿ください)を募集します。

テーマ:「園を巣立って」※卒園生との話題や近況報告など内容は自由です。何かしら園での思い出のエピソードが含まれていると幸いです。

文字数:おおよそ800文字程度(目安ですので制限はありません)

掲載方法:簡単な校正後、HP上で掲載します。一般に公開いたしますのでお名前は掲載せず、卒園年度とイニシャルのみ記載させていただきます。個人名称はお控えください。

ご提出方法:ページ下部の応援メッセージを送るフォームより。(お名前は公開しません)

頭から足の先まで
私は神様の似姿です
心から手の先まで
私は神様の息吹を感じます

口で話すとき
私は神様の意思に従います

お母さんお父さん
愛するすべての人たちの中に
私は神様をみます
動物 木 花 石
あらゆるすべての者たちの中に
私は神様をみます

だから怖いものは何もありません
まわりすべてへの愛があるだけです

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30周年を迎えました

2019年11月に30周年記念式典を行いました。

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